ブレーキディスクのベンチレーション方式 - ベーン構造 VS ピラー構造:相違点

ベンチレーテッドディスクを使用する理由は?

 
ブレーキディスクには非常に高い熱応力がかかります。これは、車の運動エネルギーが熱に変換され、ディスクとパッドの表面で熱が発生して局所的な温度上昇が起こるためです。ディスクに使われている鋳鉄やブレーキパッドの摩擦材の熱伝導率にもよりますが、多くの場合、発生した熱の80%以上をブレーキディスクが吸収すると言われています。
 
そのため、ブレーキシステムが正常に機能するためには、ブレーキディスクの冷却が不可欠になります。ブレーキディスクは車の移動による空気の循環、そしてディスクそのものの回転によって入り込む空気によって冷却されます。
正常なブレーキ操作が行えるようにするには、放散される熱量に応じて適切な冷却方法が必要になります。放熱性を高める一般的な冷却方法としてはベンチレーテッドディスクがあります。このタイプのディスクには空気がよく通り抜けるようにした通気路があり、通気性を高める特別な形状をしています。ベンチレーテッドディスクはソリッドディスクより冷却性能が高いため、主に中型車の後輪、またはコンパクトカーやシティカーの前輪に使用されます。
 
Bremboは数年前にPVT(ピラーベンティングテクノロジー)の特許を取得しました。これはピラー、つまり柱構造のベンチレーションにより通気路に空気循環を発生させることで放熱効果を高めるものです。それと同時に、このピラー構造によって強度を高め、亀裂の発生と広がりを防ぐ効果もあります。
 
この技術は90年代以降改良を重ね、特に大型車や高い熱応力がかかる車両での性能が向上されてきました。
 
Bremboはこのほど、トラックや高性能車に特化したPVT Plusの特許を取得しました。この技術にはこれまでに開発されたすべての技術が盛り込まれており、制動時の性能がさらに向上しています。
 
 
ベーン式ベンチレーションシステムを備えたブレーキディスクとピラー式ベンチレーションシステムを備えたブレーキディスクの比較
 

従来のベンチレーションと比較したときのPVTベンチレーションのメリットは?

 
制動中に急激に温度上昇が起こる状態が続くとディスクが摩耗し、ブレーキ性能が低下したりブレーキパッドの過剰な摩耗が生じます。
 
冷却システムが改良されたPVTベンチレーションでは、耐サーマルクラック性能が40%以上向上しています。それによって摩耗が減少し、ブレーキディスクとブレーキパッドの寿命が延長されます。
 
Bremboでは長期にわたってPVTベンチレーテッドディスクの品質改善を行っており、その中でトラック市場向けのTピラーとスターピラーの特許を取得しました。 
Tピラーソリューションはトラック用ブレーキディスクの通気路に粒子が入り込まないようにしたもので、スターピラーソリューションは耐サーマルクラック性能をさらに強化した設計になっています。
 
これらの特許開発で培われたノウハウをいかし、トラック市場だけでなく、自動車市場のプレミアムサルーンや高性能車セグメントに特化したPVT Plusシステムを開発することができました。
 
十字形ブレーキディスクピラーを紹介

PVT Plusソリューションによってもたらされるメリットは?

 
PVT Plusベンチレーションソリューションは従来のシステムより通気性能が向上しており、ブレーキパッドとブレーキディスクの耐久性がさらに高まります

通気用のピラー構造は独特なクロス形状をしており、耐サーマルクラック性能が30%向上するほか、ディスク自体が最大10%まで軽量化されます。

それによってブレーキ性能だけでなく車の全体的なパフォーマンスにもさまざまなメリットがもたらされます。具体的には、軽量化によって燃料消費量が減り、それに伴いCO2排出量が減少します。さらに、運転時の操舵性も向上します。
 

運転時の安全性という点では?

 
どのようなブレーキシステムでも優れた安全性能レベルを確保するために、新しいPVT Plusベンチレーションシステムはブレーキディスクごとに形状が異なり、それぞれの車両の仕様を考慮した設計となっています。
 

サポートとメンテナンスは?

 
カーブしたベーンに沿って空気が通るようになっているブレーキディスクで、一方のディスクが右輪用、もう一方のディスクが左輪用になっている場合、PVT Plusソリューションを使用すると両方のディスクを1つの部品番号で交換することができます。性能レベルに関しては、ベーンを持つブレーキディスクと同等かそれ以上の優れた性能が保証されます。組み立てが簡単になり、スペアパーツの管理も容易になります。
 

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